僕は育休を1年取る予定なのだけど、僕の会社だとこれほどの期間育休を取る人は珍しい。
しかも管理職で取るというのは相当レアケースだと思う(少なくとも僕は前例を知らない)
世の中的にも男性の育休を推進する動きがあるなか、自分の考えを書こうと思う。
僕がなぜ育休を取ろうと思ったのか
自分がもっとも必要な場所

育児をしながら仕事をするという選択肢もあるなか、育児に100%全振りする決意をしたのはシンプルに「家庭の方が僕の代わりがいない」から。
職場は自分がいなくなってもなんとかなる。
過去にも自分の上司が病気でしばらく休むとか、部下が急に退職するとかもあったけど、今のところ会社どころか自分の部署が潰れたなんてことはない。
人がいなくなるというのは大変なことではあるけど、管理職とはいえ自分がいなくなったところで代わりはいる。
会社という組織には、若手からベテランまで様々な能力を持った大人が大勢いるのだから。
でも家庭には僕と妻の2人だけで、僕の代わりはいない。
僕が仕事に費やした時間は、全て妻の負担になる。
そして妻は出産直後で万全の体調ではない。
育休を取る理由としてはこれだけでも十分だった。
子供と一緒にいる時間を増やしたい

せっかく子供が生まれたのだから、我が子と触れ合える時間を少しでも多くとりたい。
子供が少しずつ成長していく過程を、妻と一緒に体験して共有したい。
育休自体は20年くらい続く子育て期間の最初1年しか取れないし、頑張ったとしても子供の記憶にも残らないと思う。
それでも子供の0歳という時期は2度とやってこない。
選択肢があるなら、そこに自分の時間を可能な限り割り振りたいと思った。
仕事から離れてみたい

僕は、自分でいうけど結構な仕事人間だと思う。
休みの日でもメールやチャットをチェックするくらいには気になるし、仕事のことを考えていない日は結構少ない。
そういう自分が将来定年退職して仕事が無くなったらどうなるのか?ということに前々から興味があった。
いわば、これは定年退職の疑似体験ともいえる。
はたして、案外仕事のことは忘れるのか、もしくはやっぱり仕事したいと思うようになるのか。
男性が育休を取るべきかどうか
男性の問題ではなく、家族全体の問題

論点が「男性の育休」だけど、これは個人ではなく家族全体の問題。
つまり、その家庭ではどうするのが理想かということに依存するので、男性(夫)が育休を取った方が良いかどうかは家庭ごとに違う。
最近は男性も育休を取るべきという流れだから育休を取る…というのはあまりに思考停止すぎるので、夫婦で話し合って結論を決めるべきだと思う。
無期限のワンオペは地獄

夫が育休を取らず、里帰り出産じゃなかったり近くに頼れる人がいない場合、妻はワンオペになる可能性が高い。
そして、ずっと妻しか見れないような状況だとしたら間違いなく激務になる。
ワンオペ自体が激務なのではなく、休みなく続くワンオペが激務なんだ。
これは自分で実際に育児をしてみて知った。
毎日24時間子供から目が離せない生活というのは精神的にも体力的にもキツイ。
どこかで息抜きできる瞬間がないと、人はつぶれる。
もし夫が育休をとれない場合は、必ず妻の休憩時間を作るように計画をした方が良い。
育休を取ると確実に収入は減る

育休手当は、最初半年間はそれまでの収入の67%、そのあとは50%支給される。1年で平均58%。
つまり1年育休を取った場合、それまでの収入の42%減になる。
さらに支給上限があるので、どれだけ貰えたとしても最大で約325万円までしかもらえない。(1人の育休手当分)
家庭の経済状況的に、それで問題ないかというのが大きな分岐点だと思う。
育児以前にお金がないと生きていけない。
夫婦の育休手当では生活費がまかなえなかったり、貯蓄が足りないという場合は働くということも考えないといけない。
また、お金をガンガン稼ぎたいという方向性の家庭ならあえて育休を取らないという選択肢もあると思う。
育休は労働者の権利

「自分がいなくなると周りに迷惑がかかる」とか考える人がいるかもしれないけど、それはそれ、これはこれである。
社員が育休を取って労働力が減るのは、組織(会社)の問題。
その状況でどうやって円滑に仕事を回すのかはその人の上長が考えるべき仕事だ。
もしそれで仕事が回らなかったとしたら、それは上長の責任、最後は社長の責任になる。
なので、必要以上に個人がいろいろ思い悩む必要は無い。
いくつかの例外はあれど、育休は育児介護休業法で定められている労働者の権利だ。
「育休取りたい」と思うなら、まずはそのことについてハッキリと意思表示するべきだと思う。
全てはそこから。
同僚や顧客に対する配慮は必要

労働者の権利なのはその通りだけど、権利だからといって同僚や顧客に対する配慮は必要。
例えば「1か月後に育休取ります」とか急に言われても、周りの人は困る。
チームや組織で動いている以上、自分がいない間に働く人たちのことも考えるべきだ。
自分がいなくなることの影響を考えて、いつから誰にどうやって仕事を引き継ぐのかくらいは自分なりに考えて提案した方が良い。
そのうえで、上司も含めて同僚とよく相談するべきだと思う。
僕の場合は出産予定日の6か月前に、育休取得したいということをまず上司と人事に相談した。
そのあと育休に入るまで、育休期間にどう仕事を回していくのか上司や部下と何度も議論を行った。
管理職という立場なので、自分が不在の時の体制を考え、いま考えている各種方針や意思決定の判断材料を部下にも伝えた。
さらに来期以降の事業計画の草案まで作った。
それで完璧かどうかは分からないが、できる限りのことはやったつもり。
自分のキャリアとの相談

どういうキャリアを望むのか、どのくらい出世したいかとかは人それぞれだし、職種&会社のカラーにもよるのでなんとも言えない。
個人的には「家庭に時間を使う」選択をした以上は、100%仕事に全振りする人生より達成度は低くなると思う。
よほどの天才でない限り、自分が出せる成果はかけた時間に依存する。
僕自身もそこは素直に受け止めている。
ただ、それがどのくらいの影響度なのかというのは考えたい。
仮に社会人人生が40年あるとして、1年育休取るということは2.5%働かないということ。
ちなみに1か月育休取るなら0.2%。
それを小さいとみるか大きいとみるかは人によるけど、僕はそこまで大きいものではないと判断した。
それよりも子供の1年の方が重い(単純計算で育休1年 / 子育て期間約20年 = 5%)
2.5%休むことで全く望んだ結果に達しないなら、もともとそのくらいの能力で、相応の成果しかだせなかったということ。(もしくは運が無かったということ)
ストイックに考えるなら2.5%でも仕事に振った方が成果は出せるけど、それと子供を天秤にかけたときに、僕は子供を取りたいと思った。